「呪い返し」の効果
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 魔術であろうと呪術であろうと、「精神力で行うもの」である事に間違いはない。
例として、「他人を呪う場合」について考えてみよう。大体が、「他者に対する呪
術」と言ったところで、「自己の無意識層を通じて他人の無意識層に働きかけ、間
接的に影響を与える術」である事は間違いないのだから、例えば「誰かに呪いをか
けた」としても、「呪いをかけられた人間が直接的物理的に影響を受ける」訳がな
いのだ。呪術と言う物は、「相手を物理的に破壊する物」ではなく、「相手を精神
的に破壊する物」なのである。
 「精神的に破壊する」訳だから、当然、かけられた方も、自覚症状などないし、
その身の回りに不思議な事が起こる道理などない。あくまでも、「かけられた方は
徐々に精神的に破壊される」のだ。それも、「徐々に」と言いながら、「結果」は
突然現れるのである。
 「精神破壊」の結果がどのように現れてくるかは、かけた方もかけられた方も判
らない。まさに、「悪魔のみぞ知る」事なのだ。
 更に、熟達した呪術師ほど、「かけられた当人が自覚症状を全く感じないような
潜在意識の奥底」に種を蒔く。それが、徐々に根を張り、芽を出し、育って行き、
遂には、「全く意識もしなかった災いが訪れる」のである。
 但し、ここで注意すべき事が一つある。逆説的であるが、
       「『呪われて精神が破壊されるような人間』には、
        『呪われて当然』の理由がある」
と言う事なのである。これを逆に言えば、
    「『呪われて当然』の理由がない人間には『呪いは効かない』」
と言う事だ。
 そう言う意味で考えれば、世間に流布している「呪い返し」なるものが、何の効
力も持たない事が良く判るであろう。当然の事である。「呪われて破滅する奴」に
は「呪われるだけの理由」があるからだ。まさに、「因果応報」なのである。こう
言う人物が「呪い返し」などを実践しても何の効力もないのは当然の事なのだ。
 最後にもう一つ注意を。「『呪われて当然』の理由がない人間には『呪いは効か
ない』」だけでなく、こう言う「不条理な呪い」をかけたら、必ずかけた方に災い
が及ぶ。その点は充分注意されたい。